安全機能の回路を設計するにあたって、運転方案の策定と安全機能の選定が重要になります。
その中でも必ず必要になる安全機能は、ISO13849-1 箇条5に記載のある、
- 予期しない起動の防止
- 起動及び再起動機能
- 安全機能停止(インターロックによる停止)
- 非常停止
です。
ただ、これらの関係と機能を分からないまま回路を組むと、
- 非常停止の解除だけで起動がかかり、作業者が危険にさらされる
- 停止が掛かったは良いが、起動のかけ方が分からなくなる
ということが発生します。
それらを防止するための一助として、停止関連機能の関係性(基本の型)について示していきます。
安全機能の関連フロー
停止関連機能の運転方案を文章のみで示すと、どの機能がどのタイミングで必要になるのか分かりづらいため、図で示します。
予期しない起動の防止は、(通常の)停止を継続するための機能なので、停止状態と行き来します。
停止原因解消から休止(待機)に向かう破線は、起動機能インターロック付きガードのケースを表しています。
停止関連機能の優先順
全ての状態から非常停止へ矢印が向かっているのは、
非常停止機能は、・・・、機械の全ての運転モードにおいて、他の保護機能(例えば、補足された人の解放、消火)を損なうことなく、他の全ての機能及び操作に優先するものでなければならない。
JIS B 9703 機械類の安全性-非常停止機能-設計原則 (ISO 13850:2015 IDT)
からです。どんな状況であっても、非常停止が押されたら、非常停止を解除する手順を踏む設計を行いましょう。
一方、安全関連停止機能は、通常の停止の際に扉などを開放して作業することを考えると、通常の停止より優先した機能になると、作業のたびに手動リセットが必要になり、オペレーション効率を落としてしまいます。ですから、通常の停止の際は、安全関連停止機能が作用しないように作るのが望ましいです。
したがって、予期しない起動の停止(通常の停止)、非常停止、安全関連停止機能、これら3つの機能の優先順をつけるとすると、
非常停止 > 予期しない起動の防止(通常の停止) > 安全関連停止機能
となります。
終わりに
安全機能の中で、必ず必要になる4つの安全機能の関連性を示しました。
大抵の場合、今回示したフローを逸脱するような造りにはしないはずです。
これを運転方案などのドキュメントに記載しておくだけでも、設計者・ユーザーともに機能を間違いなく把握でき、正しい設計・正しい使用に繋がります。
メンテナンス、ティーチングモードなどでは、このベースのどの部分をどれだけ無効化するかを加えれば、運転方案が出来上がります。
ぜひ基本の型を身に着けて、安全な設計を確立してください。
参考文献: ISO13849-1:2015 箇条5
JIS B 9703 (ISO 13850:2015 IDT)